<サハリンアートカレッジ>の「クリスマスコンサート」:“ジャズ&バラエティー”(2017.12.18)

稚内市サハリン事務所の近くには、例えばユジノサハリンスク市行政府の本庁舎や中央郵便局、或いは警察本部や消防署のような公的機関も在れば、図書館や美術館も在るのですが、幾つかの教育機関が見受けられます。時々、近所で色々なモノが入っているのであろうリュックサックを背負った子ども達の一団に出くわしますが、児童生徒が通う学校が在ります。加えて、児童生徒と言うより「学生さん」と呼ぶべき世代の若い人達が学んでいる機関も在ります。

その近所に在る「学生さん」と呼ぶべき世代の若い人達が学んでいる機関の一つが<サハリンアートカレッジ>です。

<サハリンアートカレッジ>と訳出してみましたが、ロシア語では「Сахалинский колледж искусств」(サハリンスキーカレッジイスクーストフ)と言います。“колледж”(カレッジ)というのは、「大学」とは少し違う教育機関ということになるそうです。様々な分野を学ぶ“колледж”(カレッジ)という機関が在るようです。内容としては「職業教育」のような色彩が濃く、日本の感覚では「専門学校」に相当するのかもしれません。

<サハリンアートカレッジ>は、芸術分野を学ぶ“колледж”(カレッジ)です。各種の音楽、舞踏、演劇等の様々な分野を学ぶことが出来ます。4年間のコースであるということです。ここを修了し、更に学ぶ、学位を取得するというようなことを目指す場合は「大学」に入ることになります。極東では、芸術系分野を学ぶ大学はウラジオストクやハバロフスクに在るそうです。或いは、ロシアで「芸術系のことを学んで仕事をして行く」ということを志向する人達は、この“колледж”(カレッジ)で学び、場合によってより上位に位置付けられる「大学」で学ぶというのが「標準的なコース」なのかもしれません。

<サハリンアートカレッジ>では、学生達、講師、職員、その他でグループを組んで、対外的に公演を行うようなことも盛んに行っているようです。そうしたグループの発表の場として「クリスマスコンサート」が設定されています。12月中に5回の公演が催されます。公演日毎に音楽の分野も異なり、当然ながら出演者も異なります。一部、重複する人達も在るようではありますが。

12月18日は“ジャズ&バラエティー”という日でした。稚内市サハリン事務所から、ゆっくり歩いて10分まで掛からないような場所の<サハリンアートカレッジ>へお邪魔しました。

<サハリンアートカレッジ>は、「街の中の一寸したビル」という雰囲気で、ぼんやり歩いていると見過ごしてしまいそうです。が、この日はコンサートということで色々な人達が出入りしていて、見逃すことはありませんでした。

このコンサートに関しては、実は10月にライブを愉しんで大変に気に入っているジャズバンドの<アブソリュート・ジャズ・クインテット>がゲスト演奏者として登場すると聞いていたので、「それなら是非行きたい!!幸いに御近所が会場…」と足を運ぶことにしたのでした。実は<アブソリュート・ジャズ・クインテット>には、<サハリンアートカレッジ>の講師がメンバーに加わっていたりするのです。

<サハリンアートカレッジ>の1階に「コンサートホール」と名付けられた部屋が在ります。100名弱の収容で、少し高い舞台が設えられています。正しく「専門学校や大学の少し大き目な教室」という設えの場所です。満席で、多少場内が暑く思える程度、実際にコンサートの終盤に学校関係者がさり気なく窓を開けて、他の関係者が「寒くないですか?」と窓に近い辺りの客席に居た人達に尋ねて気を遣っていたという状況が見受けられた程でした。

コンサートは<スチーリクス>というボーカルグループのパフォーマンスから始まりました。あの『モスクワ郊外の夕べ』という有名な曲が、ゴスペル・アカペラの「こんなにドラマチックでカッコウ良い曲だったか!?」と驚くようなアレンジになって登場しました。これで冒頭から一気に引き込まれました。

それから管楽器とドラムスによる<アイランド・ブラス・バンド>というグループの演奏が在り、<サハリンアートカレッジ>関係者の混成バンドでロックの名曲のアレンジが披露されました。個人的には女性ボーカリストが歌う、あの<ディープパープル>の『スモーク・オン・ザ・ウォーター』をジャズ調にアレンジした演奏に大興奮でした。

やがて楽しみにしていた<アブソリュート・ジャズ・クインテット>が登場し、ハービー・ハンコック作品等を華麗に演奏しました。そして更にボーカルグループの<スチーリクス>です。

ここまで来て、司会者(ボーカルグループの<スチーリクス>のリーダーでもある歌の講師、パーヴェル・ゴロロボフさんが兼任していました。)は言います。「皆さん、未だお疲れではないですよね?これからが最も面白い所なんです…」とです。

↓色々な楽器を演奏する人達がゾロゾロと、ステージが溢れてしまう程に現れました。
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↑ここまでに各グループで演奏した演奏者が勢揃いです。

これは<サハリンアートカレッジ・バラエティー・オーケストラ>というような「オールスターバンド」です。これだけの仰々しい編成のビッグバンドも、なかなか視られるものではありません。

↓やがて女性ボーカルグループもステージに上がりました。
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↑ビッグバンドの演奏を背景に、リードボーカルとコーラスが加わるという、実に豪華なステージです。

↓こちらのアントニーナ・ラヴレンチュクさんは、出番が多かったので記憶に残りました。ハードロックの名曲である『スモーク・オン・ザ・ウォーター』を、ジャズの名曲でもあるかのように歌っていた方でもあります。
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↑そして右側のバラ色の服の女性が、<アブソリュート・ジャズ・クインテット>の華やかなサックス奏者のカタリーナ・サックスさんです。

とにかくも、圧倒される演奏で夢中になり、最後は「えっ?終わりですか??」と時間が経つのを忘れていました。

↓終了後に出演の皆さんで記念写真を撮っていました。
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↑立派に事を成し遂げた後の「好い顔」の皆さんが溢れています。

「芸術系の学校での、学生や講師等の演奏会」とでも言えば、何となく地味な感じを思い浮かべないでもないと思いますが、この<サハリンアートカレッジ>のコンサートは「入場無料の公立学校の催事」であることが「申し訳ない」、「入場料を払っても観て聴く価値が在る」ような素晴らしい内容でした。

素晴らしい演奏を楽しんだ余韻に浸りながら、やや寒い戸外で凍る足下に気を配りながら住まいへ引揚げましたが、何か「サハリンの文化活動の層の厚さ」を実感しました。

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